活躍中の農業人

効率を追求して稼げる農家へ

福広 博敏 さん
「有機農業のカリスマ」と呼ばれる福広さん。三重県名張市の山間部で年間2000万円を農業のみで売り上げます。面積あたりの売上は全国平均の約8倍!福広さんが行っている農業の特徴は「手を抜くこと」!?狭い農地で、楽して少人数で稼げる「カリスマ農業」の秘技を教えていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

付加価値の高い農業


大学卒業後、アメリカで2年間農業を学びました。そこで実感したのは、大規模経営を自分がしたら他の産地に勝てないな、ということでした。私が日本に戻り農業を営むのは、三重県の名張市の中でも山間部にある小さな集落です。山間部は平地と違い、冬場は日照が少ないなど自然条件での制限があります。また面積的にも勝負ができません。そこで考えたのが、付加価値の高い農業をしなければだめだ、ということでした。では具体的にどうしようと思った時、選んだのが「有機農業」だったのです。

有機農業と聞くと、農薬が使えないから手間がかかるし大変だと言われる方が多くいます。でも私が持つ農場の広さでは、農薬散布をした時の手間と時間、お金を考える農薬を使わないほうが良いのです。有機栽培で育てるほうが最適な方法なのですね。しかも農薬散布の手間を省いた方が野菜の販売価格が高いのです。失敗しなければ、有機農業が儲かるのは当たり前なのです。



ロスをなくし省エネで大きな結果を


野菜を育てる時、私の畑では整理整頓して植えることを徹底させています。これは収穫時から出荷までの時間のロスを減らし、少人数での作業を可能にするためです。簡単に聞こえますが重要な手法です。次に、私の農地には無駄な草がほとんど生えていません。ポイントは土壌に含まれる草の種が少ないこと。いくら草刈りをしても、種があれば草は生え、また同じことの繰り返しです。そこで草の種が芽を出した瞬間に「ガスバーナー」で焼いてしまうのです。これを続けると数年後には畑の中から草の種がほとんどなくなります。農業をやっていく上で重労働となる草刈りを、半分以下の労力で解決してしまいます。ガスバーナー手法でかかる時間は、50メートルにつき30分ほど。慣れれば草刈りにかかる時間の1/5で出来てしまいますよ。

害虫駆除も高価な道具を使っているわけではありません。私の道具選びの基準は、安くて、簡単で、長持ちするもの。便利で環境に優しい道具は積極的に採用します。私が利用している道具をいくつか紹介しましょう。

  • 防虫ネット
害虫が作物へ侵入するのを物理的に防ぐものです。安価の上、耐久年数は5年程。農薬散布の費用と労力を考えると優れたグッズです。

  • 誘蛾灯
光で害虫をおびき寄せ捕獲するものです。高電圧で焼き殺すタイプではないので、害虫の増減や種類の特定など、傾向と対策を考える上でのデーター収集に活躍します。

  • フェロモン・トラップ
繁殖期の害虫をフェロモンでおびき寄せ捕獲するものです。誘蛾灯と同様に害虫の原型を留めたまま捕獲できるのでデーター収集に役立てています。

野菜を育てる時にぴしっとそろえて植える、雑草も生やさない。すると少ない人数でも農地の隅々まで目をやれ、生育具合の確認など管理もきちんとできます。収穫や出荷も短時間で可能となります。害虫についてもデーター収集をすることで、最適な駆除方法を導きだします。効率をよくすると結果的に、虫食いや生育不全などの理由で不良品となる作物がなくなり、育てた作物のほとんどが出荷できるようになります。工夫次第で時間のロスと収穫のロスはなくなります。労力を省いても、大きな効果を生み出すことは十分に可能なのです。



リスク回避は農業経営にとっても基本!


農業は天候などの気象に左右されやすいので高リスク低リターンと言われる方がいます。ですが、ここでも工夫次第でリスクを低くする事はできます。私は、常時ほうれん草や水菜、小松菜など3品目〜5品目の野菜を生産するように心がけています。すると1つの作物に何かが起きた時、別の野菜の収益でカバーできます。リスクを低くするのです。出荷も市場ではなく、有機野菜を扱う宅配業者に卸しています。野菜が出来上がったからといって、一度に収穫して出荷しても1日にさばききれる量は決まっています。ですので、毎日一定量を出荷できるように「計画的に栽培」もしています。秘訣は、種まきをする時期をずらすこと。私は3段階にわけ行っています。そうすると収穫するタイミングがうまくズレて、定期的に野菜を出荷することが可能になるので、定期的な収入も見込む事ができます。


面積あたりの売上が全国平均の8倍、年収は2千万円


私の農場は山間部の上、1ヘクタール少しと面積的にも狭いです。農業に携わっているのは、私と母の2人。狭いから少ない人数でもきちんと農場の隅々まで目をやれる。管理がゆき届くから失敗も少なく、ロスも減る。しかも、経費は少なくてすむのです。ある年の私の総売上は1800万円でした。その内経費は750万円で、収入は1050万円。これを、全国平均と比べると1ヘクタールあたりの収入は8倍です。狭くても農業はできます。


農家は休み、旅行にもいく


昔の農業は一家全員で朝から晩まで働かなければいけないイメージがありました。けれど今の私は、周りの人からなんだか暇そうだねってなんて言われます。季節によって異なりますが、これでも1日9時間一生懸命働いているのですがね。頭を使っているから「楽」できるんだ、とも言われますが、学生時代の成績は下から数えた方が早かったんですよ(笑)。

無駄な労力を省き「楽」をして農業をすると、少ない人数でやっていけます。実際に私も、母と2人で働いています。妻は、パン作りを趣味に時々学校で教えていますがほとんど農作業は行いません。農業収入のみで6人家族が暮らしていけます。工夫することで、農家はずっと働かなければならないというものではなく、日が出てる時間働き、週1日は必ず休む生活ができ、年1回は家族旅行にも出かけられるようになるのです。

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